(6)アバカンにて町の探訪




●『クワス』初体験

アバカンに戻ってきた僕は町を案内してもらう途中、ところどころで見かける『タンク』が気になっていた

ニコライ:「なんてことだ。君はクワスを知らんのか。これは飲んでいってもらわんとな」

彼はタンクのほうにずかずか歩いていって、僕を手招きする。

「√$※×△○〒¥」

彼が何か言うと、女の子はタンクのコックをひねってカップに液体を入れ始めた。

ジュースかな。アルコールって感じには見えないけど・・・。

KOU:「ねえ、写真撮らせてもらっていいかな?」

ニコライが女の子と二言三言言葉を交わして、

ニコライ:「かまわないそうだ」

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KOU:「スパシーバ」

この人に通じる言葉、これしか喋れないのも情けないもんだな。

少しくらい現地語を覚えてくるのが異国の人への最低限の礼儀だろうに、僕はそれを怠っちまってる。






彼女が差しだしてくれたカップには、グレープジュースを思わせる様な液体が入っている。

においを嗅いでみると、ちょっとツンとする匂い。

『りんご酢みたいな・・・?』

ゴクン。



おいしい



KOU:「おいしいね。これ、何かの酢だろうか?」

ニコライ:「麦を発酵させて作っている伝統的な飲み物さ。」

麦ですと?

麦茶ともビールとも全く違う味。ちょっと甘くて、でも、後味スッキリしてる。

ニコライ:「今日みたいに暑い日に飲むと、スッキリしていいだろ」

KOU:「そうだね、夏にぴったりの飲み物だね」

・・・日本の名古屋から来た身としては、この日のアバカンが暑いなんて全く思わなかったけれど笑

立ち去り際、もう一枚写真撮らせてもらった。TOPに入れてた写真。















●アバカン市の光景

セルゲイが運転するクルマの中から眺めたアバカン市の様子



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トロリーバスがよく走っているアバカン市。その車体広告がずいぶんどぎついような・・・???

アルファベットで『Sex Nomoney.ru』って、コールガールでも呼び出す為の外国人向けのサイトだろうか?

ホテルでちょっとびっくりする体験があったが、ロシアは売春の取り締まりが緩い社会らしく、

こと、ど田舎という事もあり、色々な意味で『おおらか』『未整備』の様に思える。















●ハカス人兵士の像
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とある公園の中央部に鎮座していた大きな像。

ニコライ:「これは、俺たちハカシアンの兵士の像だよ」

KOU:「どこかの国と戦った時の像かい?」

ニコライ:「ゲルマン人と戦った時の様子さ。第二次世界大戦でね」

KOU:「独ソ戦ってやつか・・・」

独ソ戦はかつてドイツが独ソ不可侵条約を破棄してソ連に攻め込んだ出来事。

小学生の頃に作った戦車のプラモデルの箱に書かれていた『電撃戦』とかの、あれかしら。

しかし、ニコライが語りたいのはWWⅡでのゲルマン人との争いの話ではなくて

このユーラシア大陸で勃興したさまざまな民族の文化や流転の歴史についてらしい。

例えば、エニセイ川周辺にはるか昔から暮らしていた人々(キルギス人?)やデュルク人・・・

僕らの日常生活でほとんどなじみのない方々の話がどんどん出てくる。

どうも、この地域に住んでいる人は僕が何気なく思った『スラブ人やコーカソイド』ではないらしい。

こういった話は後で訪問するミュージアムで色々説明してもらって、『なるほど!』と思うことに。















●レーニン像とハカス共和国政府庁舎
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ニコライ:「KOU、レーニンは知っているか?」

KOU:「名前は知っているけど、他は『ソ連の最初のボス』という事しか知らないね」

ニコライ:「彼の鼻の高さやほおのカタチを見て、何か感じないか?」

KOU:「・・・ちょっと優しい顔立ちに見えるが、あとは何も判らない」

ニコライ:「それは、顔立ちに親近感を感じているのかも知れないぞ。彼のじいさんはモンゴル系だったんだ」

KOU:「へ~、そうなんだ

そのレーニン像のまなざしが見ている建物が・・・















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ニコライ:「これがハカス共和国の政府庁舎だ」

あれ?さっき見たアバカンの市庁舎よりも小さいかも知れない。

KOU:「この建物にこの国のトップがいるんだよね?」

ニコライ:「そうだ」

KOU:「大統領?それとも首相?」

ニコライ:「大統領ではない。首相と言えば首相だが、実態は役所のチーフでしかないかな。

   共和国は独自の法律を作る事は出来るし議会もあるが、ロシアのルールに則って運営されているからな」















●商店

キリル文字を読めないので、僕にはこの町のお店の看板も読めない。

判りやすいビジュアルを表示してくれているお店なら何の店か判るのだが、

そういう店はそうそう多くないようだ。


ニコライ:「KOU、ロシアの田舎の商店に入った事はあるか?」

KOU:「まだ、入ってないね。僕にはちょっと入りにくい雰囲気で」

ニコライ:「じゃあ、ビールを買いに入ってみよう」

彼はそう言って、その辺の建物にある木製の引き戸を開けると、中に入ってしまった。

僕にはその店が何の店なのかさっぱり判りませんが、ついていく。





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KOU:「おお!」

異国の日常生活に触れる店に入った時のなんか嬉しい感覚。

外国人向けのお土産品とかは扱ってない、市民の日常生活のための店らしい。

広さは少し大き目のコンビニくらい。殆どお客はいない。

レジカウンターが意味不明な場所に離れてポツンポツンと置かれていて、

その近くでおばちゃんがちょっと暇そうに立っていたり、品物並べ替えてみたりしている。















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ニコライ:「君たちはビールを飲むんだろう?好きな銘柄はなんだい?
 
   バドワイザー?ハイネケン?ピルスナー?スーパードライ?」

KOU:「スーパードライ\(^0^)/」

ニコライ:「残念ながら、ここには、無い」

KOU:「そうか・・・でも、スーパードライ、よく、知ってるね」

ニコライ:「有名なビールだからね。若い連中に人気が出てきているようだよ」

KOU:「ふうん。では、君が好きなビールは?」

ニコライ:「好きなビール?ハハハ、俺たちは酒としてビールは飲まないよ!

    俺たちはスピリッツしか飲まないんだ。50度とか60度のヤツを、ググッとな」

そうか、ロシアではビール=ジュースであり、酒とみなされないという話は本当らしい。

言われてみると、スピリッツの棚はビールの棚の3倍くらい、品ぞろえが充実しているぞ











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あ、これ、『ウォッカ』って書いてあるのかな。あと、0.7π←これはℓかしら。

2015年7月末のルーブルのレートは1ルーブル2.3円くらいだったので、ウォッカ700mlで1,300円くらいらしい。

ニコライはカウンターの方で店員のおばちゃんと話し始めちゃったので、

僕はひとりで店内を歩き回る。
















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おお、これは・・・?













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燻製っぽいぞ

美味しそうだなあ・・・。












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冷蔵コーナーはこんな陳列。














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左側のは酢漬け・・・とは思えないから、オイルにでも浸してあるのかしら?

右側のはめんたいこ・・・な筈もなく、一体、どんな味なのかしら?

興味はあるけど、買ったところで加熱する必要あるかも知れないし、そもそも食べ方を読めない・・・。















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お肉はすべて冷凍販売らしい。


















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フルーツの種類は充実。

この陳列、シンプルで判りやすくていいなあ、と思う。















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不思議だったのが『デザートコーナー』の充実っぷり。

この様なカタチで1人様のデザートが並んでいるかと思えば・・・














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切り分けして食べれるサイズのケーキの種類も非常に豊富。

全く美味しそうに見えないのだが、とにかく、種類が豊富だ。

マズそうなケーキがめちゃくちゃたくさんならんでいる。















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ハカスの人は酒飲みなのに、甘党なのかしら?

ちなみに、『クッキーコーナー』も充実している。
















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即席系のスープやヌードルもちょっとしたコーナーがあった。

ここには日本製品があるかなあと思ったが、やはり、無いみたい。






この間、ニコライは別記事で紹介した『ビール』(カウンターでペットボトルに注ぎ込んでもらうタイプ)を購入。

カウンターのおばちゃんがサーバーからボトルにビールを注ぎ、キャップで栓をして、おしまい。

KOU:「へ~

感心する僕を、おばちゃんが面白そうに眺めている。

ニコライ:「これが、俺たちのビールだ。なかなかエコだと思わないか?」

お金を払うと言う僕を制し、ニコライはビールとおつまみの支払いを済ませ、クルマに乗りこんだ。

この後、僕らは、アバカンの丘に向かったわけだ。















●ハカス国立大学(Khakas State University)
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ニコライ:「KOU、すまないが、ちょっとだけセルゲイと町を回っていてほしい。

      生徒に伝えなければいけない事があるんだ」

KOU:「生徒?ここは学校なのかい?」

ニコライ:「大学だ。俺の職場さ。先生やってるんだ」

KOU:「すごいな、何かの博士って事かい?」

ニコライ:「教授ではなくアシスタントで、博士ではないがね。地域や民族の歴史を教えているんだ」






なるほど、彼がどこか歴史に精通している様なアカデミックな雰囲気を醸し出していた理由は、これか。

ハカシアンの兵士像前やレーニン像の前での話の内容も、納得。

また、日本人戦没者慰霊碑の前で僕が写経を焚き上げた時、

彼だけ手を貸してくれたのは、彼だけそういう文化を知っていたからの様に思う。

(トーマスとセルゲイも親切なんだけど、2人には手を出して良いものかどうか判らなかった事と思う)






そんなわけで、ニコライとも別れた僕は、英語が全く話せないセルゲイと2人きりになってしまった。


(つづく)